京都迎賓館(ものづくりものがたり) 

 

 

 

 

今回は最近読んだ本について書いてみたいと思います。

”京都迎賓館 ものづくりものがたり”

 

 

 

京都迎賓館は平成17年に開館した迎賓館で、国賓をもてなすための施設ですが、洋風の迎賓館赤坂離宮とは対照的に和風建築で作られています。

(私はまだどちらも行ったことがないけど)

 

 

この本が私にとって面白かったのは、「ものづくりものがたり」とあるように、実際この迎賓館を作った人たちにフォーカスしているところです。

 

「匠が語る–伝統を継承する心と技」の章では名実ともに日本最高峰の11職種の和の建築職人たちが、今まで扱ったことのないような巨大で常識外れの和風建築にどのように挑んだかが語られています。

(京都迎賓館は和風建築ですが、木造ではなく鉄筋コンクリート造なので通常ではありえないような柱間の長さがあったりするらしいです。)

 

以降、少しだけ職人さんの言葉を取り上げてみます。

 

 

 

 

●数寄屋大工 

 

「・・こんな大きな室内で鴨居や長押などの長物が、24時間空調をかけられたときにどれだけ伸び縮みするもんや、ということが見当もつかなかった。」

 

 

「・・図面に描かれた天井板を見ましたら、長さが12メートルで幅が50センチでした。そんな無垢材は容易には入手できません。」

 

 

「その木があまりにも長いので10t車に積んだままではカーブを曲がり切れないのです。」

 

 

「建物は、完成した時が最高の状態やと思っている人もいるでしょう。でも木材は建物が完成してからその環境に徐々になじんでくるものです。建物の良さというのは、5年、10年経って初めて評価できるものなんです。」

 

 

 

 

●左官

 

「聚楽土(じゅらくつち)をふるいで通し、残った荒い土に水と藁すさを加えて練ったものを、ひと月に一度足で踏みしめて練り返し、土を熟成させました。最終的に使えるようになるまで、15、16回練り返しました。」

 

 

「・・昔はこんなやり方で土を作っていたんですけど、最近は左官が土をつくるということはありません。私も初めて古くからの技法で、土づくりからやらせてもらいました。こうして出来あげった土は、はんなりとした色合いの最高の聚楽土やと思います。」

 

 

「左官を35年やってますが、こんなに大きな壁は初めてです」

 

 

「・・僕ら壁を真っ直ぐに塗るのが名人やと教えられてきたのですわ。でも丸太柱はくびれたり節があったり、上がちょっと細く下のほうで広くて、スーッと立ってる。この場合壁のほうで細工をして、柱の正面幅が、見たところ上と下で違わないように塗る、という気持ちが大切なんです。」

 

 

「・・私ら仕事が終わると、いつも、まだ誰もいない建物に言い残してくるんです。大事にしてもらえ、って」

 

 

 

 

 

●建具

  

 

「柱の間に建てこんだ6枚の障子戸を3枚づつ両側に開けたとき、3枚の障子の竪框見込面(たてかまちみこみめん)の木目がつながって、もともと1つの材料だったのがわかるように木取りしています。」

 

 

「図面を見ると、幅が1.4メートルもある摺上障子でした。まず心配したのは、空調のために和紙が縮んで、障子が反ることです。組み方を変えた、いくつもの試作で、紙と組子の変化を調べました。・・普通の組み方とは逆であっても、品質に支障のない仕事をすることが、後々のためにいいのではないかと思います。」

 

 

「・・それまで私は、正面が柾目であればいいと思っていたのです。しかし、欄間(らんま)は高いところに納まるから斜交い(はすかい)に見られる。正面より斜交いを大事にせなあかん、と。なるほどと思って組み直しましたが、これは初めての経験でしたね。」

 

 

「・・京都迎賓館の仕事では、考えだすと夜寝れんほど、全精力を注ぎ込みました。完成後は引退しようと考えていたのですが、いまは、もう数年がんばろうと思っています。」

 

 

「先輩から技を見せびらかすな、見えないところに技を使え、と教えられました。」

 

 

 

 

 

●表具

 

「・・京都迎賓館では、空調の風が敷居のしたから出てくるということをお聞きして、これは大変なことだ、と思いました。乾燥した空気が直接あたると木は全部痩せますし、紙の劣化が早いことも心配しました。」

 

 

「(経験したことのない背丈と面積、通常より薄い下地のふすまを制作するにあたって)・・曲がらなくて軽量なものやったらアルミがいいやろ、ということになり、どこにアルミを入れると歪み、反りが起きないかを研究したわけなんです。」

 

 

「泥間似合(どろまにあい)という紙が一番いいのですが、あまり大量にないので、特別にお願いしてつくっていただきました。・・見えないところにどれだけ誠をいれるかが、我々のしごとです。」

 

 

「・・高度な発注がないと、技術は伝承されませんし、発達もしません。」

 

 

「・・絶対に材料の質は落とさない。手は抜かない。」

 

 

 

 

 

・・と、まあこのように職人さんたちの思いがたくさん詰まった内容です。

 

職人としては一生に一度の大仕事、とっても憧れます。

 

  

 

 

 

 

 

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