三木町渡邊邸にて ~重文見聞録番外編

様々な重要文化財の建築を見て回り勝手に”重文見聞録”という記事を書いてみてますが、今回は番外編として木田郡三木町にある「渡邊邸」を取り上げてみたいと思います。

 

なぜ番外編なのかというと、重要文化財には指定されていないからですが、この渡邊邸結構面白い建築意匠と経歴を持っています。

 

そこでせっかくですので番外編としてちょっと取り上げることにしました。

 

 

このブログを書いた人:リョーゾー社長

内装工事職人歴20年、一級壁装技能士、ライティングコーディネーター資格者、3Dマイホームデザイナー操作技能者


 

 

 

 

 

渡邊邸の特徴はなんといっても茶室が6室あることです。

 

渡邊邸は確かに大きなおうちですが、敷地面積が広大というほどではありません。

 

なのになぜ一軒の家にそんなにたくさんの茶室があるのか不思議に思いませんか?

 

●渡邊順久という茶人

三木町は白山の麓にあるここ渡邊邸には渡邊順久(1908~2004)という茶人が住んでいました。

 

「渡邊」の茶事に呼ばれたらお茶人として認められたといわれるほどの人で、一流へのこだわりの大変強い人だったようです。

 

渡邊順久さんは今の渡邊邸のオーナー小橋あやみさんの父にあたる人ですが、この人が「揚家(あげけ)」の茶室5室を引き取って移築したことで現在のような間取りになったのです。渡邊邸は庄屋さんの家柄だったそうですが、もともと茶室が6室あったわけではなかったのです。

 

 

●さぬきの豪農、揚家

 

「揚家」とは高松市の古高松に住んでいた超豪農の一家で古くから長者として知られていたようです。

 

もともとは古高松に別宅として3000坪の敷地52室を有するお屋敷10室の茶室があったというから相当な長者だったのでしょう。

(3000坪=約100m×約100mくらいの広さ。岡山には塩田王、野崎邸という重要文化財がありますが、それとほぼ同等の広さ。野崎邸はわたしも行きましたが、今でも塩業をしているらしく、とても手入れの行き届いた重文です。)

 

古高松と言えば源平合戦屋島の戦いの舞台となった地域ですが、その際にはあの弁慶が兵糧を借りに来たという話があるそうですから、1185年時点でもすでに長者だったのでしょう。

 

しかしその揚家も次第に衰えていき、3000坪の敷地も切り売りし屋敷も荒廃していたところ、50年前に渡邊順久さんが茶室をゆずり請け移築したことで今のようなおうちになったようです。

【丸窓から入る光が障子越しに映って満月か朝日のように見えます】

 

 

私は残念ながら茶室や茶道の知識と経験が全くないのでこだわりどころが分かりませんが、個人的に面白いと思ったところを紹介していきたいと思います。

 

渡邊邸を見学して一番感じたことは他ではあまり見たことのないような意匠を細部に凝らしていることです。(知識がないのでもしかしたらどこかの茶室を模しているのかもしれませんが。)

 

 

●灯り

 

渡邊邸のさまざまな箇所に意匠の凝らされた灯りがありますがそれも多種多様です。

 

以下に写真を掲載したいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

【離れの茶室にある灯り。桐紋をかたどっているように見える】

 

 

 

●透かし欄間

欄間に使われているモチーフも変わったものが多かったので以下に掲載してみます。

 

【この欄間なんかは最近の人がつくったかのようなデザインですね】

 

【こうもりのモチーフ。西洋ではいいイメージがないが、こうもりは「幸盛り」などの当て字があったりする縁起物だ。】

 

●細部のこだわり

他にもたくさんのこだわりがありました。

 

離れの茶室前の土間にみどり鮮やかに敷かれているのは織部焼のタイルだそうです。

 

 

 

     

離れの茶室の奥に温泉マークのような格子が入った窓が見えますか?

 

 

 

板戸ふすま絵もきれいです。

 

 

 

釘隠しは何かの葉っぱのようなモチーフが使われています。

 

 

 

 

 

 

草庵風の風流な茶室だけでなく、中国を思わせるような絢爛な書院もありました。

 

この部屋の床框には漆塗りに金蒔絵がえがかれており、下のように隠したり見せたりできるようになっていました。

 

 

 

 

 


渡邊順久さんの死後、空き家になり荒廃していた渡邊邸を現オーナーの小橋さんが少しづつ手入れしながら今のようなところまでもって来たようです。

 

茶室と言えば作法が難しくて敷居が高い、というイメージがありますが、今では小橋さんがそれを取り払って渡邊邸を開放してイベントを開催したり、ランチできたり、ギター教室をしたりしています。

 

ぜひ一度気軽にたずねてみてください。ただし毎日開放しているわけではないので以下のホームページからお問合せください。↓

渡邊邸ホームページ

 

                

   

 


いかがだったでしょうか?

 

今回紹介したシンコールギャラリーは決して業者さん向けという訳ではなく個人のお客様も御覧いただくことができます。

 

ただし完全予約制なので、見てみたい方は弊社(0120-6969-33)かシンコール高松(087-882-5111)に一度ご連絡ください。

 

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リョーゾー社長と雲

プロファイル:

小山良造 1976年2月17日生まれ

●芸術的職人集団、㈱R.Life代表取締役。

●壁紙の職人として起業したのち内装全般を彩る職人として活躍中。

●日々の活動やホテルの内装、重要文化財の建築を見て回ったり、海外の展示会に足を運んだりしたインテリアブログも好評。

●ちょっとした国際通。

●アウトドアスポーツが趣味。

芸術的職人集団 R.Life -アールライフ-

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