重文見聞録10 旧呉鎮守府司令長官官舎

今回はリョーゾー社長的にいつか必ず行きたい重要文化財として前々からチャンスをうかがっていた重文「旧呉鎮守府司令長官官舎」を紹介したいと思います。

 

 

なぜ、以前からチャンスをうかがっていたかというと、ここにはなんと日本で数か所にしか現存しないといわれている「金唐紙」があるからです。

 

金唐紙は今の壁紙の原型のようなもので、極論すればこの旧呉鎮守府司令長官官舎は壁紙で有名な重文だからです!

 


 

●金唐紙とは

 

キンカラカミ?

 

一般の人にはまるで擬音語のような耳慣れないものだと思うのですが、金唐紙については以前にもブログで紹介させていただきました。

 

日本の壁紙のもとになったのは?

 

 

平賀源内は壁紙をも作った。

 

金唐紙のもとになったヨーロッパ発の「金唐革」は豪華絢爛なバロック建築時代の壁装材で、金唐紙はそれを模して造られただけに見た目に華やかです。

 

 

しかし実はこの旧呉鎮守府司令長官官舎の金唐紙、一度原型をとどめないような状態になっていたのでした。

 

 

●長官舎の歴史

 

富国強兵を目指してここに呉に軍港ができ、海軍の長官官舎ができたのは1890年のことでした。

 

軍国主義の時代を経て太平洋戦争時には軍港のある呉は焦土と化しましたが、長官舎は戦火を免れました。

 

しかし戦後長官舎は米軍、英軍に接収されてしまいます。

 

この時になんとこの長官舎は内も外も白いペンキで塗りつぶされてしまい、金唐紙の痕跡は消えてしまいました。

 

1956年に長官舎はイギリスから日本に返還、1966年に呉市に譲渡、平成4年から7年にかけ明治時代当時の状態へ修復工事が行われました。

 

この修復時の調査でカーテンボックス取り付け部、電気スイッチボックスの下地から金唐紙が発見され、現在の状態への修復が進んだのです。

 

なので一応一言断っておくと大半の金唐紙は復元されたものです。

 

 

 

●探してみよう5種類の金唐紙

 

 

長官室には部屋ごとに5種類の金唐紙が使いわけられています。

 

では各壁紙とそれぞれの部屋の装飾の特徴を見ていきましょう。

 

 

①縦縞花柄文様   【玄関・広間・廊下】

これは玄関・広間・廊下の腰壁に張られている金唐紙で「縦縞花柄文様」です。

 

 

引いてみるとこのような感じです。

 

ストライプの模様が腰壁にぴったりです。

 

 

 

②流水文様と菊花文様   【応接所】

応接所の壁に貼られている「流水文様と菊花文様」です。

 

応接所は簡単に接客をする場所として使われていたそうです。

 

家具はすべてイギリス製で18世紀のジョージアン様式にて復刻されたそうです。

 

 

 

 

③草花と昆虫   【客室】

客室の壁に貼られている「草花と昆虫」の金唐紙です。

 

緑地に金で模様が描かれており14種類の昆虫が描かれているそうです。

 

(いくつ見つけられるでしょうか?)

 

この壁紙デザインは19世紀のイギリスで活躍した、アーツ・アンド・クラフツ運動で有名なウィリアム・モリスがデザインしたモリス商会の室内と類似しているようで、「」をイメージしています。

 

壁紙Selection 5 ウィリアムモリスのファンへ

 

 

またこの部屋の天井から下がるシャンデリアと扇風機は昭和初期のものだそうです。

 

 

 

④入船の森  【食堂 壁】

⑤花模様  【食堂 天井】

これは食堂の壁に貼られている金唐紙「入船の森」です。

 

客室が春をイメージしているのに対してこちらは「」をイメージしていて、モチーフにどんぐり、いがぐりの実などが使われているといいます。

 

(どれがそうなのか私にはわかりませんが)

 

そしてこれは食堂の天井に貼られている「花模様」で、ほかの4種類は切れ端から復元したものですが、これは元の金唐紙を修復したものだそうです。

 

 

 

 

他に食堂の内装の特徴としては、床の寄せ木張りに見える黒いパターンは高級木材黒柿を使っています。

 

 

また調度品や家具は18世紀イギリスで活躍した家具デザイナー、チッペンデールのものを使っていたそうです。

 

 

上の写真をよくみてください。

 

家具の足先は「ボール・アンド・クロウ」と言って竜が珠をつかんでいるという中国様式で作られています。

 

 

 

●金唐紙以外の見どころ

 

以下にこの長官室の金唐紙以外の見どころも紹介したいと思います。

これは長官舎の家具の中でオリジナルが唯一残っていた「藤張り肘掛け椅子」で、19世紀後半にロンドンで有名なメープルという家具店のカタログに類似品が載っていたことからそのころに制作されたものだと考えられています。

 

 

また各部屋にあるストーブもなかなかいい味出してます。

 

 

長官舎は和風建築と洋風のハーフティンバーの建物自体が真ん中で合体して1つの建屋になったような作りになっています。

 

上の写真は西半分の和風建築部分で、この長官舎の中では洋が公用、和が私用部分として使われていました。

 

 

洋風の部分が豪華絢爛であるのに対して和風の部分はほとんど装飾性がない質素なつくりになっていて、何か当時の軍人の中にある精神性を表しているのだろうかと深読みしたくなります。

 

(コスパ的な問題かもしれませんが)

 

上の写真は和風の廊下からドア1枚開けると豪華絢爛という不思議さを表している1枚です。

 

 

 

これは玄関正面のドアで、真ん中のガラスは桜と海軍錨(いかり)のマークをデザインしており、周辺にステンドグラスをあしらっています。

 

 

 

●歴史民俗資料館にも足を運んでください

 

また長官室から出るたところにある歴史民俗資料館には金唐紙の資料ブースがあり、数点のコレクションも並んでいます。

 

          

このような中国趣味の模様の金唐紙や

 

今でも壁紙としてありそうなデザインのものなどが展示されています。

 

  

金唐紙の技法や道具も展示されていて職人心もくすぐられました。

 

 

 

いかがだったでしょうか?

 

旧呉鎮守府司令長官官舎は現在、入船山記念館という名前になって一般公開されています。

 

この入船山記念館、ほかにも東郷平八郎が一時期住んでた「旧東郷家住宅離れ」などまだまだ見どころがあるんですが、独断で好きなところだけピックアップさせてもらいました。

 

 

ここは海が見下ろせる高台になっているので景色を楽しむ散歩がてら、一度は立ち寄ってみてくださいね。

 

 

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重文見聞録9 旧野﨑家住宅