本当は話したくない リョーゾー社長の失敗談 Vol.1

わたしたち職人も最初からうまくできるわけではなく、数えきれないほどたくさんの失敗をしてきました。

 

本当は話したくない内容ですが、後輩職人たちにとっては失敗談のほうがためになることもあり勇気をもってブログにすることにしました。

 

今となっては冷静に書けますが、その場その場ではその失敗がずっと頭から離れない日々を過ごしました。

 

今回はどうか温かい気持ちで読んでください。


 

●ステンレスのビス

 

 

この話は約8年前のことです。

 

この現場ではわれわれはとあるリフォーム会社の下請け工事業者として働いており、PM10時にお店が閉まってから次の日の営業開始時間AM10時までに完成させるという工事でした。

 

この日私は徹夜でお店の内装工事をしていて、朝がきて工事が終わりかけていました。

 

最後に取り組むのは床の抑え金物、通称”への字”の取付だけでした。

 

への字は床にできる1cm前後の小さな段差に対して上からかぶせてビス止めしてつまずきにくくするためのインテリアパーツです。

 

 

金物の断面が”へ”の形になっているためにへの字と呼ばれます。

 

への字にはアルミ製とステンレス製と真鍮製があり、今回は土足で踏むことになるためにさびや強度の問題上ステンレスでとの指定がありました。

 

しかしこの時の私はほとんど壁紙工事がメインで床材や抑え金物についての知識がありませんでした。

 

そしてへの字自体はステンレスですが止めるビスはステンレスではないビスしか持っていませんでした。(確かスチール製の表面ラスパート処理のコンクリートビスだったように思います。)

 

このビスでへの字を取付しようとしたときにリフォーム会社の社長に「ステンレスビスでないとだめや!」と怒られ、徹夜明けの早朝にステンレスビス数本を探しに走ったことがありました。

 

への字がステンレスであってもビスがスチールだと、用途によってはのちのち錆切れてへの字金物が浮いてしまい、本来つまづきにくくするために取り付けたはずのそれにつまづいてお客さんやスタッフさんがけがをすることもあり得ます。

 

怒られた瞬間は「こっちは徹夜明けで頑張って仕事終わらそうとしてるのに、ビス数本くらいで怒らなくてもいいじゃないか」と思ったものの、それ以来ビス選びに注意するようになりました。

 

 

 

 

私は思うのですが、プロとノンプロの違いは締め切りと失敗経験とではないでしょうか?

 

 

 

 

例えば壁紙をDIYでプロ顔負けの腕前で張る人もいるかもしれません。

 

DIYは基本的に締め切りはないようなものですし、失敗しても特に大きな問題にはなりません。

 

それからわれわれも得意分野以外の作業を見様見真似ですることがありますが、そのときに怖いのは「どういう失敗が多いのかがわからない」ことです。

 

 

 

 

どの世界でもそうだと思いますが、

 

常に新しいことに挑戦し、たくさん転んで、それでもくじけずに前を向いて立ち上がり続けることでしかプロにはなれないのではないのでしょうか?