徒弟制度の話

今回はわれわれ建築の業界で働く人にとっては珍しくないものの、その他の業種にとっては珍しいかもしれない話をしてみたいと思います。

 

建築業界の末端で働くわれわれ職人の世界は徒弟制度というのがあります。いわゆる親方と弟子の関係です。

 

私自身は手に職をつけるために23歳の時に親方に弟子入りしました。香川県では内装仕上げ職人の親方は9割以上が自営業者です。(わたしの感覚的な数字ですが)そしてその親方たちも自営業者の親方によって育てられました。言わずと知れたことですが自営業者はケガしても過労死しても自己責任です。

 

そして弟子という「教えてもらっている立場の人間」には権利がありません。そんな弟子がまた自営業者になり、弟子を雇うわけです。

私の見解では、「つまりちゃんとした教育、労働環境で働いたことがない人が弟子という権利のない若い人を使って工事を進める」のが職人業界です。

 

内装仕上げ職人は地位の低さに不満を持っていますが、いっぱしの職人を育てるにはこの昔ながらの徒弟制度が最適だと思い込んでおり、「地位を上げるためにはより完璧な仕上がりをするしかない」と口をそろえて言います。

 

しかし私はそうは思いません。

 

私が今やっていることは徒弟制度とは違いますが、一生そのことだけをする専門の職人を育てることとも違います。

 

そのためなかなか理解がされにくいのですが強いて言えば建材を施工する職人ではなく、価値を生み出す職人を作ろうとしているということです。

 

わかっていただけるでしょうか?